「ほら、見てみろよこれ」
「ん?なに?」
「なんか変なキャラが歌うやつ」

 月曜の放課後、やること満載のボクと、見ているだけの奏とで早々に帰ろうとしていると声がした。

「ああー何だっけ、ボーカロイドだっけ?気持ち悪いよなあ」
「こーいうの聞く奴の気がしれないぜ!」

「あ、あれは華音さんの取り巻き連中?」
 華音さん達のグループ、つまり、イケてる系の連中がスマホの画面を見ているようだった。
「アイツらひっどーい!ね?タクくん!」
「ん、ああ。まあな。でも、人は人だろ?気にすんな」
 しかし、その時ちょうど華音さんが現れた。どうやらボクらのコトには気がついていないようだった。

「お、華音じゃん。華音もそー思うだろ?」
「何が?」
「いや、コレコレ、キモいってさ」

「よし!華音タン、バシッっと言っちゃってやっちゃって!」
 ボクと奏は廊下のカドに隠れ、華音さんの答えに聞き耳を立てていた。

「だろ?な?」
「う、うん。キモい……よね」
「そーだよな!」
「ハッハッハ!」

「な、なんだよ華音さん……」
「まあまあ、気にすんなってばよ」
「で、でも、奏……」

 自分が何を期待していたのか?それはよく分からなかったけど、少なとも華音さんは仲間なんだと感じはじめていた。だから、それが違うって否定された気がして、なんだか悲しくなってしまった。
 最初は一緒に何かやれるだけでイイと思っていたのに……

「だ、だいたいそーだよ。おかしかったんだよ最初から。人目につかないように古い視聴覚室を部室にするとか……そーだろ?奏!」
「う、うん……でも……本当の本当は違うと思う」
「何が違うんだよ!今、キモいって言ってたじゃないか!」

 ほんと、何を期待していたんだろう?だんだんと怒りに近い感情がこみ上げてきた。しかし逆に奏は悲しそうな顔をした。

「でもさ……華音タンって、カナたんなんだよ?タクくん、忘れてるっしょ?」
 カナ……それはどこかで聞いた気がする名前だった。



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