「お?ココか?何だっけ……絶対領域研究部は」

 ボクが唖然としていると扉が開いた。その時、部室(視聴覚室)に化学の先生が入ってきたんだ。

「あれ?どーしたんです?えーと……タキダ……」
「北田だ!どーしたもこーしたも、俺はこの部の顧問だ」
「へ?」
「部活には顧問の先生が必要です!北田先生まだ何もしてませんよね?じゃ、お願いします。って教頭に押しつけられたんだよ!ったく」
 どうやら無理やり押し付けられたアピールをしたいようだ。
「は、はあ~なるほど……」
「それで何の御用です?」
「ちゃんとした活動をしているかチェックして報告しなくちゃなんだよねえ。ボクだって面倒だけどしょうがないだろ?」
「はい、じゃあもういいでしょ、お帰りください」
 華音さんは、どうにも先生が邪魔なようだった。
「そーはいかないなあ、君の設立要望書によると第一の活動は今月末の発表とある」
「それが何か?」
「知っての通り、部活動とは部員全員の参加が必要条件だからさ。そのように進められてるかチェックしろと言われているのだよ。教頭に!」
「チッ」
 華音さんはまた、つまらなそうな顔で舌を鳴らした。
「で?どんな具合だい?」
 北田先生の視線を無視して、華音さんは僕を睨んでいる。どうやら僕に何とかしろ、ということらしい。
「え、ええと……い、今、曲作りのため……作詞と作曲の分担をしようとしてて……」
「なるほど……で?決まったの?というかテーマは?」
 空気を読まないのか、読めないのか、北田先生は華音さんの苛立ちも無視して話をつづけた。
「テーマは『ピュアな少女の片想い』ですわ」
「え?華音さん、そ~なんですか?」
「あら、言ってなかった?」
「はい……」
 そもそも、ドコでどんなふうに発表するのかも知らなかったけど、あまり根掘り葉掘り聞いてはイケないよーな雰囲気が華音さんにはあって聞き出せないのだった。
 それに……
「少女ですか……じゃ、女性陣が歌詞を書いて、男性陣が曲でイイのでわ?」
「はい………」
 僕は北田先生の提案にぼんやりと返事をした。
 それに……余計なことを聞いて、この密かな共同作業が消えてなくなるのが、僕はたぶんイヤだったんだ。
「じゃ、そ~いうことで教頭には報告しておきますから。ボクは用があるんで帰りますよ」
 しかし、北田先生ってなんか普段はボソボソ言ってる感じだったけど、こんな軽い雰囲気だったんだなあ。
「ハイハイ、とっとと帰ってください」
「あ、でも、報告してくださいね。そーだなあ、次は水曜日でいいかな?」
「ちっ」
 たぶん華音さんは自分主導じゃないのがイヤなんだろう。
「でも、いいんじゃないですか?ボクはソフトの使い方とか調べないとわかんないですし」
 確かにそうだった。初めて触るのにあと二週間で仕上げるのだから……できるのかな?
「しょうがないわね。じゃ、奏ちゃんもいいわね。今度の水曜日までよ」
「え!ウチも?」
「当たり前でしょう?今の話し、聞いてなかったの?」
「ど、どの話し?滝田先生が顧問だって話し?」
「違うし!ぜっんぜん違うし!」
「か、華音さん、後で僕が説明しておきますから……」
「頼んだわよ!」
「ハイ!」

 まあ、だいたい奏は昔からいつもこんな調子だった。なんかトラブルやら抱え込んできて、本人は知らん顔なんだ。


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